散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

『医者が教える疲れない人の脳』書評

正式名称は
『医者が教える疲れない人の脳
「慢性疲労」を消す技術 』
(著:有田 秀穂)

ここのところ疲れているんだけど
今月は更に疲れることが予想されるので
疲労の回復や予防を期待して購入。

疲労とその予防や回復について
脳内物質の観点からアプローチしている。
メンタル含む心身の不調って
脳の関係が大きいよなぁと思っていた
ので、脳に焦点を当てたものは
情報としてありがたい。

ざっくり言うと
「三つの脳内物質を増やせばいい」
ということで、セロトニンを始めとした
脳内物質の分泌を増やすための
具体的な行動が紹介されている。

が、具体的な行動を更にざっくり言うと

・太陽の光を浴び
・運動し
・よく眠れるように務める

という、前からよく言われていることに
終結しているな、というのが率直な感想。

2020年という最近の出版の割に
特に目新しい情報はないなというのが
残念ではあるが、逆に言うと現代に
おいても画期的な改善方法はなく、
日常生活を地道に整えるしかないんだと
いうことが科学的に証明された
…と考えてもいいかもしれない。

面白いと思ったのは、
「おしゃべり」によってオキシトシン
いう物質が分泌され、ストレス解消に
良いということ。
これは既知の情報だったのだけど、
筆者は「仕事帰りにちょっと一杯」が
大変すぐれたストレス解消法であると
述べていて、仕事終わりは1秒でも早く
帰りたい身としては「???」だったが
そういうのが好きな人にはストレス解消に
科学的にも有効的な文化だったんだなと、
「飲みニケーション」を執拗に勧める
世代への理解が深まった…かもしれない。

で、興味深かったのは「SNS上での
おしゃべりではオキシトシン分泌に
至らない」ということ。
大脳の情報中枢に届くには、文字よりも
むしろ絵文字の方が効果的というのが
意外なようで面白かった。

他に筆者は、日中はデジタル機器を好きな
だけ使い、夕方から入眠にかけては
デジタル機器を使わないアナログ生活を、
という生活を提唱している。
が、立派なデジタル依存症の私には到底
無理な話なので、よく言われるこの手の
睡眠のために夜はデジタル機器を
手放す話は現実的ではない。
スマホを見ないで布団で目を閉じた
ところで、あらゆる不安が押し寄せて
予想・対策なんかを考えてしまうのを
止めることができないからだ。
慢性的な睡眠不足と長年付き合っている
身としては、ハイハイそーねと
流さずにはいられない。
できる人がやればいいと思っている。

ではどうすればいいかと言うと
私はそれを栄養素で補おうとしている。
本書にも、セロトニン神経を活性化させる
トリプトファンを含む食材が具体的に
記されていて、とても貴重な情報だった。
(と言っても昔からよく言われる、所謂
「体にいい食材」に過ぎないけれど)
その中でも私は特に牛乳を飲むように
している。
最近よく消費拡大を呼びかけてるし。

あとこれは朝食を摂るように…の話で
言われていることだけど、
咀嚼のリズム運動というのも効果的
らしく、朝にガムを噛むのも良いらしい。
朝食を食べない方が仕事が捗るんだけど
これは取り入れやすくて助かった。

他にも入浴・ストレッチ・歌・涙活…等
自分にもできそうな工夫はあるので
情報量としては豊富で良かった。

ということで、
太陽光・運動・夜のアナログ生活・
朝食・栄養・入浴・おしゃべり等々…
昔から言われるこれらの方法の中で
自分ができる事とできない事を仕分け
できる事に注力するのが現実的な改善方法
かなというのが、感想としての結論。

「寝れないけどトリプトファン摂ったし
セロトニン出るから大丈夫!」みたいな
多少の科学的根拠のある自己暗示が、案外
疲労を和らげてくれたりはしないかと
ほんのり期待している。
ということで読んでよかった一冊。