散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

週末、夜の神保町へ

密度の濃かった繁忙期も
ようやく金曜日に一段落ついて、
ふと神保町で夜ご飯を食べたくなったので
会社帰りに行ってきた。

地下鉄の階段を上がって地上へ出ると
サラリーマンや学生らしい人や
ギターケースを背負った人が混ざって
あぁ、神保町だなって思う。
私の好きな街、No.1。

とっくに日は暮れているけど
夜の神保町はまだまだ雑多で人が多い。
飲み会に行くらしき二人組の学生や
サラリーマン達もこれから神保町で
金曜の夜を過ごすのかな、とふと思う。
なんとなく空気が浮わついてるような
平日と休日が混ざり合う金曜の夜の
神保町が大好きだ。

前回来た時はエチオピアのカレーを
食べたんだけど、
今回は久しぶりに共栄堂のカレーを
食べようと意気込んできた。

本当はカレー以外にも美味しいお店は
たくさんあるはずなんだけど、
どうしても神保町に行くとカレーを
食べないと勿体ない気がしてしまう。

久しぶりの共栄堂なのでいつもの
スマトラポークカレーにしようと思って
いたけど、なんとなく初のエビカレー。
おなじみのカレーポットに深い焦げ茶色の
ソースが、なんだか私には懐かしくて
久々のスマトラカレーに嬉しくなる。
見た目はポークと同じだけど、エビの
香りがふわっと香る。
ルーを大盛りにしたのは大正解だった。
限りなく黒に近いソースが
白いご飯を黒く染めていくのがいい。

苦味の深いカレーが大好きで、
家で作るカレーも焦がし玉ねぎや
コーヒーなんか入れたりしちゃうんだけど
苦味の効いたカレーで共栄堂に勝るものは
まだ知らない。
苦くて深くてスパイシーな味と香りに
感動しているうちに、完食していた。

このお店でもうひとつ好きなのが
サービスでついてくるコーンスープで、
ポタージュではなくサラッとしてるのに
ポタージュのようにコク深くて
どうしたらこんなスープが作れるんだろう
って不思議でしょうがなかった。

いつも混んでいる人気のお店なので
余韻に満足しながらサッと店を出る。

その後に少し買い物をしていたら
脚がくたびれてきちゃって
せっかく神保町に来たんだし、どこか
夜のカフェでコーヒー飲みたいな
…と思ったけど、前に来たトロワバグも
さぼうるも開いていない。
残念…と諦めかけて少し見回していたら
見慣れない看板があった。

ラッキー!ホットコーヒー飲みたい!と
入ってわかったのが、どうやらここは
いつも並んでいる人気のカフェみたいで
すごい行列…とよく見ていたカフェの
ソファー席に座れるなんて、ツイてる!と
ホットケーキとコーヒーを頼む。
頑張ったから甘いものが食べたくて。

この時まで知らなかったんだけど
このお店、石窯焼きのホットケーキと
フレンチトーストが有名らしくて
お店にサインがいくつも飾ってある。
だから並んでるのね…と納得しながら
15分か20分くらいゆっくり待ってたら
デン!とした、めっちゃふっかふかの
ざぶとんみたいなのが、来た。

大きい…分厚い…クリームすごい…と
圧倒されて、写真を撮らないと…という
圧すら感じるような見栄えに
いつもは写真そっちのけで食べる私も
思わず写真を撮ってしまった。
すごい久々にパンケーキの写真撮った。

柔らかく湯気の立つ、ふかふか温かい
パンケーキにシロップとバターを
染み込ませて、しみしみしたケーキに
柔らかいクリームを添えて食べると
あぁ、これが幸せってことかと
悟りのような境地になる。
ホットコーヒーの香りとジャズピアノも
相まって、ふぅーっと溜め息と一緒に
疲れも消えてくようだった。

悟りを開いて20分くらい、
幸せの過剰摂取でお腹がパンパンに
なりながら帰路につく。

 

前回神保町に来たのは9月だったかな。
あの時はまだ夏の名残で楽しかったな、と
思い起こす。

そういえば今日、会社のオフィスビル
クリスマスツリーが設営されていて
もう冬が始まるんだな、と
晩秋の終わりを感じていた。
地上の風が冷たくて、すっかり冬の風だ。

前回は秋の訪れで、今回は冬の訪れ。
次は春の訪れ…じゃなくて、もっと
たくさん来たいな。
…といつも思ってるけど結局行けてない。

秋が冬に変わりつつあったり
金曜の夜という、平日から休日に
グラデーションする時間帯だったり
なんだか私は今、移ろう時や季節の
ちょうど境目にいるんだな…とか
とりとめのないことを考えながら
うとうと揺られて帰った。

 

 

前回

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