散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

旅行記③:出雲行の夜行列車おりた時から

前回はこちら

ha49re.hatenablog.com

 

出雲そばでお腹がいっぱいに満ちたところで、縁切り神社『宇美神社』へと向かった。
数分〜10分程度歩くのだが、のびのびと寛ぐ野鳥を見ながら歩くのは腹ごなしにちょうど良かった。
いくつか道を曲がったところでたどり着く。

この宇美神社、ただ手を合わせて縁切りをお願いするのではなく『木札』を用いた参拝方法がある。
詳しくは出雲市のHPに記載があるが↓

www.city.izumo.shimane.jp

引用すると、

(1)縁切り縁結び祈願の木札に切りたい縁と結びたい縁を記入します。
(2)神前に木札をお供えし、縁切りのお願いをします。
(3)木札を割り、切りたい縁が書いてある方に息を吹きかけ縁切り箱に入れます。
(4)残った木札を持って時計回りに本殿をまわり、縁結神社にお詣りします。
(5)木札を神前に供え、縁結び祈願をし、木札をお守り袋に入れ大切に持ち帰ります。

出典:宇美神社と縁結神社 | 出雲市

真ん中に切れ目の入った木札の左側に自分の名前、右側に切りたい縁、裏返した右側(自分の名前の裏側)に結びたい縁を書くようになっている。
お供えとお願いをして折るように力を入れると、切れ目からパキッと木札が割れるようだ。

では、いざ…  パキッ

 

あれ?割れない…

 

正確には割れてはいるのだが、木の繊維がガッチリ繋がっていて力を入れても離れてくれない。

「縁が切れない…」と思わず呟いてしまった。

ちなみに夫の方は一度で綺麗に割れたらしく、私も特に非力な方ではない。
ぶっちゃけスピリチュアルには疎いほうだが、どうしてもこの事象には意味を見出さずにいられなかった。

離れてくれない木札を引きちぎるように離し、名前の札に残ってしまった歪な木の繊維は夫が引きちぎり、なんとも無理やりというか、しこりの残る縁切りとなってしまった。

この「切りたい縁」について、私は「自分にとっての悪い縁」と書いた。
今、特に縁を切りたい人がいるわけではない。
そりゃ嫌いな人はいるが、自分の「好き」「嫌い」はきっかけがあれば簡単に反転するものであって「嫌いな人」が必ずしも「悪い縁」ではないだろうと思っている。
また、上記のサイトの

参拝すると、人との悪い関係性や自身の病気、悪癖など、前進を阻む様々な悪縁を断ち切ることができると言われています。

という言葉の「自身の病気、悪癖」に倣って「自分の悪い考え方や性格を含めて、良い人生を阻む悪い縁があれば神様に切っていただこう」という思いがあった。

今でもこの事象について考えているが、この「悪い縁」を「自身の内面」と捉えると「お前の性格は簡単にゃ直らんよ」という神様からのメッセージだったのかもしれない、と今になっては思う。

 

モヤモヤを秘めつつ、縁切りも済んだし出雲大社に行くか!と向かう。
雲州平田駅のホームに行くと「平田一式飾」という民族芸術でできた島根県観光キャラクター「しまねっこ」が飾ってあって、個人的にちょっと怖くて面白かった。

目の焦点が微妙に合ってないのが好き

こちらが他の駅で撮ったしまねっこ。かわいい


電車に心地よく揺られているうちに、出雲大社駅に着いた。

出雲大社の正式な読み方は「いづもおおやしろ」と言われるが、ここでは「いずもたいしゃ」となっている。歴史的な正式名称と一般的な名称が分かれているというのが、歴史や神様を重んじつつ人々の日常にも溶け込んでいるという感じがして好き。

出雲大社駅を出るとすぐに観光地的な町並みになっていて、それまでのどかだった町並みとは一変していた。
広い大通りには土産屋さんや名物の飲食店や工芸品の店が立ち並び、こういう観光地も久しぶりだな…と思う。平日だったが車や人通りも多かった。

私はこの出雲大社駅でぜんざいとのどぐろ焼を食べたかったのだが、さすがにお蕎麦でお腹がいっぱいなので先に出雲大社に行くことにする。

色んなお店があるー楽しいー!とワクワクしながら歩くと、鳥居が見えてきた。
「失礼します」と入ると広い道には木が生い茂り、きちんと道が整備されているとはいえ山の中にいるようだった。
歩けども歩けども社が見えないのが面白くて、しばらく緑いっぱいの散策を楽しんだ。
「木の間の一本道を歩くの、前に行った天橋立に似てるね」とか話しながら歩いていると、奥に社殿の注連縄が見えてきた。

私が出雲大社で見たかったのが、この大きな注連縄!
めちゃくちゃ撮ったので注連縄コレクションを見てほしい。

 


龍のような、大蛇のような注連縄は見てるだけでエネルギーが湧いてくる。
出雲大社はパワースポットと言われるが、個人的にはこの注連縄が一番のパワースポットだった。(有名なのは境内の他の場所だが)
下から見上げる、切りそろえられた断面図が美しい。

そのまま境内を歩き回るが、とにかく広い!
さすが神在月には八百万の神様が集われるだけあるわ…と納得しつつ一周し、夫と一緒におみくじを引く。

するとなんと、私も夫も全く同じことが書いてあった。
一字一句同じで、おみくじの番号も同じ。

もしかして、全部同じことが書かれてる?そんなバカな。とか言いながら二人してもう一度引いてみると、今度は違う内容だった。
夫は二度目はいい内容が書いてあって、私は二度目も「災難もあるけど頑張りなさいよ」ということが書いてあり、なんか悔しくなって三度目も引いてみた。
するとやっぱり同じような意味合いの内容で、要するに不運なのね…と身にしみるほど悟った。
こんな性格だから悪縁も切れないんだよ、と今になっては思う。

が、「不運」と「不幸」は必ずしもイコールではないと思っているし、三回引いたおみくじを読み返すと「ワガママと油断はダメよ。災難もあるけど頑張りなさいよ。信心怠らないでね」という至極真っ当な教えであると思っているので、そんなに悪いことでもなかったな…と思う。
ちなみに三回とも「旅行」と「結婚」は「よい」と書いてあったので、この旅行は良いものであるし、私の結婚は人生において間違いなく良いものであると確信している。

 

そろそろ行こうかと歩く道すがらに、兎の像がたくさんあった。「因幡の素兎」から来ているんだろう。かわいい

「日本酒発祥の地 出雲」の像で初めて知った。ここが日本酒発祥の地だったのか。

色々と見て回って、境内を出る。
また来ます。ありがとうございました。

 

さて、たくさん歩いてまぁまぁな時間も経ったので、ここでお目当てのものが食べたい。
高級魚・のどぐろを焼いたものがなんと屋台で食べられるというので、旅行前からワクワクしていた。
念願ののどぐろ焼がこちら。

小ぶりだが、期待通りに美味しい!
割り箸でいただく身はパリッとふっくらで、脂が甘い!
ふっくら甘い脂に塩気が効いてるのが良くて、「ちょうどいい塩梅ってこういうことか」と謎に納得したりする。
高級なのどぐろが数百円でいただけるのが最高にありがたかった。ビール飲みたい。

そのまま通りのお店に入り、「出雲ぜんざい」もいただく。

もっちりした白玉と、ぜんざいの優しい甘さが疲れた体をじんわりと癒やしてくれた。
温かいのも嬉しい。
「うさぎみくじ」という可愛いおみくじと、「ご縁袋」という五円玉が入った小さい袋が付いていた。
この「ご縁袋」は破らずに持ち帰って、願いが叶ったら「ご縁箱」というところに入れてくださいと書いてある。
面白いキャッシュバック(?)だなと思う。また出雲に行ってこれをご縁箱に入れる日が来たら、それはとても幸せなことだろうなと思った。

 

お土産屋さんで会社の人や自分たち用にたくさんのお土産を買い、心もお腹も満ちたところで宿のある出雲市駅へ、一畑電車で戻る。
最後、お客さんがいなかったから撮っちゃった。

こういうシートは初めて見た。このソファーに座り真横に流れる景色も新鮮で、観光気分がマシマシに上がって楽しい。

 

出雲市駅に着いてホテルにチェックインする。
全国旅行支援で割引が効いてとてもありがたい。割引のための証明書はスマホの画像と、あと念のため紙のコピーと原本も持ってきてたんだけど、画像だけで済んだので楽に終わった。
一息ついたところで夕飯のお店に行く。

さっき食べたのどぐろ焼の系列店が近くにあるみたいで、そこにするか!と決めてたんだけど、なんと満席で入れなかった。
人気店なのね、とその隣のお店にも行くが、そこも満席。
時刻は18時とは言え金曜だし、旅行者も多いしなぁ…残念であると同時に、コロナで飲食店が閑古鳥だった時を思うといいことなんだよなと思ったりもした。

近くに地元の居酒屋って感じのお店があって、良さそうだけどここも満席かな…と半ば諦めながら入ると、ラッキーなことに1テーブルだけ空いてた!ここにしよう!
食楽 山頭火』というお店

えへへ。いただいちゃうよ。
「日本酒発祥の地」と聞いたばかりだし、ここは日本酒で。
『出雲富士 特別純米 佐香錦』

恥ずかしながら色んな酒を飲んだ割に日本酒の違いとかよくわかってないんだけど、もうこれしか言えないんだけど、美味しい!
透明な器に映えるキリッとした冷たい美味しさがいい。
そして、

これこれ!のどぐろ一夜干し!
持ってきてくれた店員さんが「こちら大変お熱く、また大変脂が乗っております」と言うから期待が爆上げ。
パリッとした身を口に入れるとジュワッと脂が溶けてくる。
アッツアツのジューシーなのどぐろの脂を、キリッと冷えた日本酒で流し込む幸せ…

「出雲産つや姫のごはん」と「宍道湖産大粒しじみ汁」も頼んでたんだけど、つやっつやの白ごはんといただくのどぐろの一夜干しなんてもう思い出すだけでお腹が空いてくるくらいに美味しい。

そしてこの大粒のしじみ汁!今まで食べてきた味噌汁のしじみって味は好きだけど小粒で旨味も一瞬でなくなる感じだったんだけど、島根のしじみはムチムチのプリプリの肉厚で、味も濃厚!味噌汁の具のしじみをつまみに日本酒を飲むという経験を初めてした。

この旅行でしじみ汁を5回飲んだんだけど、このお店のしじみが一番大きくて肉厚だった。
もう一度言うけど、ムチムチのプリプリの肉厚で、濃厚なしじみ
しじみで飲む酒が旨い!
さすが「宍道湖七珍」という、宍道湖で穫れる美味の味覚のひとつだと思う、しじみ

そして宍道湖七珍のもう一つの味覚である、うなぎも頼んじゃった。

蒲焼き〜。
食べてみて、なんで一口サイズなのかわかった。酒の肴に、って理由もあるだろうけど、身はもちろん皮がしっかりしていて小さい一口に旨味と食べごたえがミッチミチに詰まってるからだ。ミルでひいた山椒をかけて食べるのがまた、最高。

ここらでメニューを開くと、「蕎麦焼酎 出雲の国焼酎」なんていうのがある。
家では「蕎麦焼酎 雲海」を常備しているほど蕎麦焼酎を愛飲しているので、ここはもちろん頼む。
『蕎麦焼酎 出雲の国焼酎』

水割り。
焼酎のグラスを見るたびに毎回、ミネラルウォーターのように透き通った透明のお酒ってなんて美しいんだろうと思っている。
いつも飲んでいる雲海よりなんとなく香りがふくよかかなぁとか思う。が、雲海も美味しいので特段こっちが飲みやすいとかはなく、普通に美味しい。

麦焼酎とうなぎの蒲焼きで幸せ〜となり、うなぎの蒲焼きが来たらご飯に乗っけちゃうよね…と島根の幸でミニうな丼を楽しんだりしたところで、だいぶお腹もいっぱいになったのでごちそうさま。

やまたのおろちって酒がある!」と夫が言うので気になったが、もはや記憶が遠いが今日は夜行列車サンライズ出雲で来たばかりで微妙に寝不足なので、お酒は控えめにして明日に備えることにする。
コンビニで飲み物や明日のパンを買って宿へ戻る。

 

さて!今日のお宿はドーミーイン!
実はドーミーインに泊まるのは初めてで、いわゆる「ドミ活」なるワードを聞いてからドーミーイン宿泊は今回の楽しみの1つだった。
とはいえウリの1つである大浴場やサウナは今回は行かなかったのだが、それでもシャワーブースとトイレと洗面台がユニットバスでなくそれぞれ独立している設備の快適さとか、一階のドリンクブースの充実さなんかを楽しんだ。

そして楽しみにしてた目玉がこれ!

まだ食うか!って感じだけど楽しみだったのでしょうがない。
でも飲んだ後のラーメンっていいよね〜〜。
21:30から時間限定で提供される、サービスの「夜鳴きそば」。
早めに食べちゃおうと21:30ちょうどくらいに行ったら、もう長蛇の列!
皆さんドミ活してますね〜、と変に感心する。
並んでトレーを受け取り目の前で盛られる流れに「食堂みたい…」と面白く思いながら、素朴な中華そばをいただく。


よく「こういうのでいいんだよ」って言う褒め言葉があるけど、まさにこういうのでいいんだよ…ってしみじみ言いたくなる美味しさ。
素朴な味なのに、なんか並んででも食べたくなるのわかるなぁ。
というかこれを求めに宿泊するというか、並ぶのさえも楽しいアトラクションみたいな感じなんだろうなと思ったりする。
「体験」というトッピングがあったのもあるだろうけど、「普通」よりはもっと美味しかったです。ごちそうさまでした。

 

これでようやく、食べに食べた美食と神様からのメッセージを受け取った1日が終わった。
24時間前がサンライズ出雲だったなんて信じられないくらいに濃かった。

が、明日はこの旅行で一番の楽しみがある。
津軽海峡・冬景色」ならぬ「松江宍道湖・夕景色」だ。
予報は曇りのち雨だが、夕景色は見れるのか?果たして!

 

つづき

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