散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

搭乗しなくても楽しい 羽田空港一泊記

「わたし飛行機見るのが好きなことに気づいた!」と母からLINEが来たのが少し前。
いくつになっても、好きなことを見つけるって素敵だと思う。
「羽田に泊まりたい!」と弾んだ文面に、ちょっと可愛いとすら思ってしまった。

というわけで母の要望を叶えるべく、羽田空港をエンジョイしに一泊してきた。
飛行機に乗らないのに空港に行くのは初めてだったが、新鮮な光景をたくさん写真に収めるのは楽しかったので写真と共に振り返る。

 

私は新宿で予定があったので、お昼すぎに山手線→東京モノレールに乗って第二ターミナルにいる母と合流した。
お目当ての航空機があるようで、先に一人で見てると言う。
モノレールの窓から見る景色が好きで、青空と雷雨になりそうな雲を見ながら「夏だ…」と夏の到来を嬉しく感じたりした。雷雨にはならなかったけど。

少し早めに到着し、思えば久々に会う母と再会する。
が、弾んでた母がなんだかヘコんでる。
楽しみにしていたルフトハンザドイツ航空の航空機が、毎日来るにも関わらずその日に限って欠航だったらしい。

ランチの店を探しに歩きながら、なんでルフトハンザ?と訊くと、どうやら特に大きい機体があって、エンジンが二台ずつ搭載されている&先頭のほうが二階建てになっていて珍しいそう。どうしてもその大きい機体を見たかったらしい。

ルフトハンザドイツ航空には一度だけ搭乗した事があるが、機内の軽食のターキーサンドイッチがビックリするくらい美味しくて、今までに食べたサンドイッチで一番美味いな!と思った記憶しかない。機体がどうだったか忘れてしまったが、とにかくアレをまた食べたい。

明日見れるよ!と宥めながら、フードコートでチャイニーズデリを食べる。
14時過ぎにも関わらずお店はどこも混んでいて、空港の賑わいを肌で感じた。

じゃ、飛行機でも見ますか。と展望フロアに向かう。
屋内でガラス越しに見ることもできるが、外にも展望デッキがある。

外では金網越しに機体を見られる。母はこっちの方が好きなようで、空と、風と、音を感じながらずっと眺めていた。臨場感がかなりある。

↑奥に見える日の丸の機体はなんと政府専用機らしく、このタイミングで見られるのはめちゃめちゃレアらしかった。ラッキー。

そしてANAの機体が遠くですれ違う瞬間を捉える。雲の躍動感が何気に好き。

 

↑これはメカニック好きには刺さるだろうなーと思いながら撮った光景。
左下の貨物を載せる車輌がミニカーのようにチョロチョロ走ってたんだけど、運転技術はものすごく大変なんだろうなと思った。ここでは機体の他に働く車や、人様がまさに働いていらっしゃる様子も見られる。
働くすべての人にリスペクトを感じながら、その姿を眺めていた。

 

↑このグリーンのANAの機体はちょっとだけ珍しいと母が教えてくれた。母、いつの間にかだいぶ詳しくなってる。青みがかったグリーンが綺麗。
デルタ航空フィンエアーとのコラボも普段は見られない。

JALANA、グリーンのANA、と並んだ光景も素敵↓

↑のを拡大するとこうなる↓

ANAの色違いが並ぶ

次々にやってきては休んだりどこかへ行く機体を眺めながら母と近況を話していたら、あっという間に時間が過ぎた。
ご飯食べてお風呂入ろう、とホテルへ向かう。

本日泊まるのは昨年末にオープンしたばかりの「ヴィラフォンテーヌ グランド 羽田空港

www.hvf.jp

第三ターミナル直結で、最上階の天然温泉がウリの一つ。

夕食は同じく開業したばかりの商業施設「羽田エアポートガーデン」で天ぷらを食べて、ホテルへ向かった。
トレンドに疎い方だが、図らずしも新しい施設を体験できてしまった。

ホテルで温泉…の前に、岩盤浴に行く。
岩盤浴は好きだが最後に行ったのも5年近く前なので、ゴロゴロして汗をかく感覚が懐かしい。スマホや本も読まず、ただ暖かいところで目を閉じて寝っ転がるのって割と天国だと思う。

岩盤浴でのんびり汗をかいたら大浴場で天然温泉→露天風呂をキメる。
ついでにサウナと水風呂もキメたが、整う感覚はまだわからない。
露天風呂に浸かって空を見上げると星が見えて、思わずため息が出た。
最高。

そんなこんなで19時くらいに岩盤浴に向かったはずなのに、湯を出たら23時近くになっていてビックリした。
で、温泉フロアの食事処で湯上がりの一杯をいただく。
湯上がりの食事処でグダグダするのも、温泉施設の楽しみの一つ。

クラフトビールってあんまり好みではないんだけど、なんとなく気が向いて頼んだホワイトエールは癖がなくて飲みやすかった。

やっぱり夏は、ビールと枝豆だよねー。
で、いい感じに眠くなって就寝。

 

翌日も快晴で、日差しが眩しい。
母とダラダラ喋りながらチェックアウトし、またターミナルへ向かう。

今日は来るかな…とドキドキのルフトハンザドイツ航空、朝のうちに調べたら1時間以上の遅れとの事だが羽田に着くらしい。良かった…

遅延とはいえお昼前には来る予定なので、他の機体を見ながら待つ。
後ろ向きの機体って鳥の尻尾みたいで可愛い。

 

…とか思っていたが、予定時刻になってもやってこない。
まだかな…まだかな…とそわそわしつつ、また遅れてる?とか実は欠航?と不安がよぎる。
そんな中、遠くの空からやってくる機体の点のようなエンジンが、2つ見える気がする。

「あれエンジン2つ付いてない?」
「……あれあれ!」

やったね、と思いつつバタバタと移動する。
母の念願の機体が、ゆっくりとやってきた。
まさに、威風堂々って感じに見える。

イムリーに手前にもルフトハンザドイツ航空の機体があったんだけど、手前のはエンジンが一つしか搭載されていない普通のサイズで、先頭も二階建てじゃない。
同じ航空会社の異なる機体という、奇跡の共演。

こうして見るとエンジンの違いがわかりやすく、より大きく感じる。
見られて良かったね。

 

無事に着陸を見たところで、離陸まで1時間以上あるのでお昼を食べる。
が、やっぱりどこのお店も混んでいるので「ここは席が空いているところに決めちゃおう」とか言ってたら昨日と同じチャイニーズデリになってしまった。
普通に美味しいのでヨシ。

ターミナル内の「ずんだ茶寮」で買ったずんだシェイクを飲みながら、最後にお目当てのルフトハンザドイツ航空の離陸を見て終わる。
ずんだシェイクの甘じょっぱさがクセになる。

青が眩しい。

 

念願の機体が見られて、泊まりたいところにも泊まれて、母はとても満足そうだった。
帰りは別のリムジンバスで帰ったが、楽しそうなLINEに私も満足。
実家にもロクに帰らない不孝娘だが、こうして母が喜んでくれて嬉しい。

どちらかといえば飛行機よりは鉄道派だけど、鉄道よりは大きなスケールで機体やメカニックな光景を眺めるのも癒やしにはなる。
あと働く姿は決して見世物ではないと思いつつ、滑走路で働く人や車輌を見ると労働へのリスペクトみたいな思いで元気をもらえて、なんだかそれは不思議な感覚だった。

しかし!なんとなく屋内でのんびり飛行機を見る感じかな?と思いきや予想外に外でガッツリ日差しを浴びてしまったので、既に少し焼けてしまった。
美白に励む夏よ、サヨウナラ。
でも、夏の青空と雲と風をダイナミックに感じるのも健康的ではある。

というわけで、空港一泊は充実して楽しい。
飛行機好きで近郊なら、日帰りでフラッと行くのも全然アリだと思う。
なんならもう一泊できる。搭乗しなくても。