散文録

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『瓜を破る』複製原画展の感想

大好きな作品『瓜を破る』の複製原画展にやっと行けたので書く。
内容のネタバレなし。
今年の6月30日まで、ブックファースト新宿店で開催されている。

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開催されている場所は特に部屋などが分かれているわけではなく、漫画コーナーの一角の柱を使ってドドンと展示されていた。
大樹のような柱の上の方まで展示されていて、カラー絵や色とりどりに散りばめられた「読者の声」のカードが本当にカラフルで、遠目で見てもちょっとしたお祭りのような雰囲気。

そう、この展示には実際に作者の先生や編集部に送られた読者からの感想が抜粋して展示されている。散りばめられた声に「わかる…」と共感したり「こういう思いを抱えた方がこのように感じて読まれているんだ…」とか思いながら見ていたら、しばらく読み込んでしまった。
有休取って平日の午前中に行ったんだけど、書店自体に人も少ない時間帯だったのか空いていて静かで、ゆっくりと見られて良かった。

柱の根元の台に単行本が置かれていて、そこにも先生のメッセージとイラストのポップや読者の声があって、とにかく華やか。
そして私が行った時には4巻だけ品切れだったんだけど、ちょうど4巻が出た辺りで読み始めてまさに4巻でドハマリした身としては、ちょっとした共感みたいな気持ちになった。
全巻重版が決定したとの事で、ポップの「重版出来」の文字が嬉しい。おめでとうございます。

そして単行本と共に作品を紹介するボードが置いてあったんだけど、ここに書かれた言葉がなんだか予想外に沁みてしまって、すごく素敵な紹介文だなと思っている。
この展示は撮影OK(SNS掲載はNG)なので、ありがたく写真を撮らせてもらってこの紹介文も何度も読み返している。
(展示の画像はブックファースト新宿店のツイート等で少し見られる)

この作品は各書店のあらすじなどで『現代の冒険譚』や『令和の冒険譚』と、『冒険』というワードで言い表されているが、会社員が主人公であるこの作品にはまさに『冒険』が詰まっている。

別に遠くに行こう、みたいな冒険でもなんでもなくて、普通に劣等感だったり憂鬱みたいのを抱えながら会社に行って、でもちょっと頑張って言った一言が「昨日の自分では考えられなかった言葉だな」と後で思い返すとか、そういう日常の中にある何気ない自分の変化が、まさに冒険なんだなとこの作品を通して思う。

このボードや「読者の声」を読んでいると
普通に生きることって難しくて、冒険なんかもっと難しい。
だからこそ、現代の冒険譚が自分に刺さるのかもしれない。
とか考えたりした。

複製原画は単行本6巻に収録されている話のうち数話の一部が抜粋して展示されていたんだけど、私が金曜0時にドキドキしながら読んでいたあの話やこの話を、生で!間近で!見られたという、ジワッとした感動を感じた。
本誌や単行本で読んだよりも大きな画が柱に展示されていて、ぐるりと歩きながら眺める。
去年の夏のドキドキを、今年も違う形で味わえるのは二度美味しかった。

更に私が「おっ」となったのは、昨年12月に開催されたキャンペーンのキャラクターイメージ香水のレシピが全公開されていたこと。
※キャンペーンは既に終了

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トップ・ミドル・ラストノートに分けて分量まで詳細に記載してあるので、これをメモしてお店に依頼すれば再現して作ってもらえる…という仕組みになるのがすごい。

ありがたいことにこのキャンペーンに当選して主人公まい子さんの香水を頂いたのだけど、私がつけた二日目に感じた「昨日より色っぽい感じ」は、もしやラストノートのこれでは??とか考えるとめちゃめちゃ楽しい。

あと、柱の上の方にはフルカラーのキャラクターデータがあってキャラの出身地や最寄駅などが実在の場所で記載されているので、解像度が上がると思う。
実在の設定が大好きなので、これはこの作品の好きな所のひとつ。
この最寄駅等の情報は昨年のサイン会で頂いた『キャラクター設定BOOK』にも記載があって、この冊子と展示のキャラ紹介を見比べるのも楽しい。

この設定公開や香水レシピ公開でも思ったけど、キャンペーングッズが手元にある人はもちろん、手元になくてもこういった機会で同じように情報が手に入れられて世界観を楽しめるということに、(たとえ全員は難しくとも)一人でも多くのファンにお届けしようという制作サイドの配慮というか、読者への愛を勝手に感じている。

 

本当にコーナーの一角ですぐ隣には別の漫画が置いてあったりして、他の漫画を買いに来た人もフラッと見られる場所なので、この展示を見て興味を持った人もいそうだなと思った。
原画自体が少し試し読みみたいになっていて、最初の話ではないけど私が最高にドキドキして楽しかった回がギュッと詰まった展示になっているので、原画が目に留まって試し読み→ハマるという出会い方もできるのかと思うと楽しい。

本当は先月の開催初日に行くつもりで仕事の調整をしていたけどままならず、最初の展示(内容が今と異なる)が見られなかったのが心残りだけど、それでも期間中に一度でも行けたのでとても満足している。

作者の先生と編集部や書店の方とファンの方々の愛で作られたこの展示に、愛や感謝が詰まっていてとても良かった。
原画にドキドキしたり声に共感したり言葉に沁みたり…ファンの一人としてとても楽しかったので、行ける方はぜひオススメしたい。
作品を知らない方も、これを機にハマったらすごく楽しいと思う。

 

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