散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

本日のランチ:鱧

また美味しいものに出会ってしまった。

オフィス街がイス取りゲームとなるランチ時、たまたま入れたチェーンのとんかつ屋という意外な場所で、それと出会った。

京料理に欠かせないという高級魚、鱧。
縁がなく食べたことがなかったが、その美味しさは前から気になっていて、特に最近は出張先で食べたという夫から聞いて「食べたい」なんて言っていた。

チェーン店の、とんかつ屋
なかなか出会えない高級魚に、こんなところでお目にかかれるとは。

にこやかな店員さんの「鱧を定食にお付けすることもできますよ」という言葉が縁を後押しして、ひれかつ定食に鱧を付けてみた。とんかつ屋さんの鱧のカツ。
ランチ代に420円の上乗せは勇気がいる…というのは今思い返せばであって、その時は衝動的に頼んだと思う。だって、こんなところで高級魚!


カラリとしたひれかつに添えられた、肉厚の魚がやってきた。
タルタルソースと一緒に添えられた、オススメの塩と共にいただく。

サクッ ふわ …

消えた。
サクサクの衣を少しだけ残し、ふわっと優しい後味を残して一瞬で消えた。

おいしい…!

サクッ ふわ

サクッ ふわ

塩で引き立つ甘みのような、まろみのような柔らかい旨味。
身は消えても柔らかい後味が残る。
口の中に優しさや柔らかさが広がる感じで、白ごはんが何倍も美味しく感じた。

小骨が多いと聞いていたけど、まったく小骨を感じることなくフワフワの食感が楽しい。
本当にくさみや癖がなくて、柔らかく優しい味が溶けていく。
サク サク と柔らかく噛みしめる時間を、ずっと楽しんでいたかった。

厚みが一瞬でふわっと溶ける感覚に夢中になっていたら、一口大の3切れがすぐになくなってしまった。
塩、ソース、タルタルソースで食べたけど、塩が一番美味しい。
ひれかつも文句なしに美味しいんだけど、印象が全部持っていかれるくらい未知の味覚が強烈だった。

会計で「鱧は塩がオススメでしたがどうでした?」と訊かれ「すっっっごく美味しかったです!」と伝えて店を出た。気分がいい。
飲食店のマニュアルかもしれないけど、「美味しかった」と伝えたかったので嬉しい会話だった。

ご飯を半分にしてもらいながら、それでもお腹が苦しい。が、豚肉と鱧の栄養を摂ったぞ!と思うとなんだか心強くも感じる。
疲れが吹っ飛び…はしなかったけど、湿気で早くも夏バテな気分がクルッと反転したくらいには元気が出た。

平日ってあまりブログを書く気が起こらないんだけど(元気がないから)、すごく美味しいものを食べた時に言葉があふれる感覚と、それを残したくなるのが自分でも不思議。
美味しい!というただそれだけのことを、書きたくなる。

思いのほか豪勢な価格になってしまった本日のランチ。でも未知の味覚との出会いと思えば、費用対効果も高い。

繊細さを活かす京料理ならきっと違う味わいにもなるんだろうか。お財布の余裕と縁のある時にぜひ食べたい、という楽しみも増えた。

420円で味わえる満足、夏のうちにもう一回くらい食べようかな。
ごちそうさまでした。