散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

お正月にモネ

お正月も早々に「ずっと行きたかった美術展」に行けたので晴れやかな気持ちで日記を書く。あけましておめでとうございます。

なんとなく「お正月休みは美術館も開いてないんだろうなー」と思い込んでいたんだけど、よく調べると行きたかった美術展が1月2日より開いていることを知り「やったー!」と弾んで今年を迎えた。
行きたかったのはクロード・モネの展示『モネ 睡蓮のとき』

www.ntv.co.jp

去年の10月から開催されていたこの展示、10月は体調不良だし他にやりたいこともあるしで乗り過ごし、11月からはゴリゴリ削られる繁忙期で気力も低下しているうちに月日が経ち、「1月も繁忙期なんだけど…行けるかこれ…?」とテレビで推される様子を眺めた時に、ふと調べてお正月休みの間に行けることを知った。三が日も開けていただいてありがとうございます、美術館の方々。

ピッカピカに晴れた1月2日、新年初のお出かけに向かう。
無知なもので、「初詣はともかく1月2日の美術館って意外と混んでないのでは?だとしたらラッキー!」なんて甘い考えで電車に揺られたんだけど、Xで『モネ展』と検索したら普通に「長蛇の列」なんてワードが出てきて「甘かった…!」と猛省した。時間帯によっては一時間以上の待ち時間もあったらしい。せめて家を出る前に調べておけば良かった。箱根駅伝に釘付けでした。

「ま、気長に待てばいいか」とそのまま向かったんだけど、私たちが着いた時には30分程度の待ち時間で「これなら余裕!」と安堵した。チケットを事前に買っておいたのも幸いだったかもしれない。

30分より体感では少し早く入れたモネ展、中もそれなりに人がいたものの、待ち時間や列で想像していたよりは余裕があってマジマジと間近で絵を鑑賞することもできた。
写真は入口の看板。

「モネ展を観たい!」と意気込んだ割に美術の知識には疎いので、クロード・モネに関しては『睡蓮』と一昨年に観に行ったブルターニュ展の絵が素敵だったという印象しかない。でも当時の日記にもちゃんとモネの絵に惹かれたことを書いていたのを読み返して思い出した。どうでもいいけどルーヴル美術館展には40分並んだらしい。

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中は章立てで分かれていて、メインで推される『睡蓮』に関する作品は最初の第1章で鑑賞することができた。思ったより多くの睡蓮、睡蓮、睡蓮…と碧い絵が立ち並ぶ。

特に好きだと感じた《睡蓮、夕暮れの効果》は画の左上から左下にかかる水面が「余白」のように感じられて(実際は余白でもなんでもないんだけど)、「余白の美しさ」を勝手に感じて見入っていた。もちろん連なる睡蓮の白に露のように淡く光る蓮の葉も美しいんだけど、なんとなくこの余白のような静かな青に「語ってくるよなぁ」と思ってしまった。センスがないなりに一人で好き勝手に浸っていられるのが美術展の良いところである。

睡蓮も藤もアイリスも、決して写実的なリアルではないのに「この人にはこの花がこう映って、ここを本当に美しいと思って描いたんだな」というのが一目で伝わってくる。
「どう見えたか」と言うよりは「どう美しいと思ったか」をまっすぐに伝えてくる色と光と筆使い。いいよね、印象派。とわかったようなことを言ってみる。

後の章で、日本を好んだモネが『日本の橋』という題の絵を何作も描いていたことを知るんだけど、その中の一つに大きな違和感をもった。今までに観た作品の筆先を点描のように綿密に置くような繊細なタッチではなく、なんというかクレヨンを滑らせたような濁りのある赤と緑。よくよく解説を読むと、この頃のモネは白内障を患っていて、ちょうどこの絵に関する「キャンバスに荒く叩きつけるような筆の運び」のような解説を読んですごく静かに腑に落ちた。率直に「雑」だと感じた違和感は、視力を失いつつあった画家の感情が乗った筆の荒さだったのかもしれない。苛立ちとか、無力感とか、そういうの。

その後は手術によってある程度まで視力が回復したらしいものの、なんとも言えない気持ちではある。うまく言えないけど、解説を読むことで絵の印象がガラリと変わったことがなんだか不思議だった。なんというか「情報」によって絵の受け取り方が変わるのを味わったというか。

こうして「なんとなく好き」だったモネの理解を少しだけ深めたところで、最終章まで観て出口に向かった。きっと、もっと奥深い。また美術展で絵画に出会う度に、感じた思いと一緒に知識を深めていけたらいい。「来られてよかった」と満足の思いと共に、展示を後にした。

で、美術展の楽しみはもう一つある。美しい作品をモチーフにした、美しいグッズの数々。美術展クリアファイルコレクターなので「今日もクリアファイル買おー!」とウッキウキでグッズ売り場に向かって、長蛇の列に「!?」となった。

なんとグッズ売り場に入るまでに一度外に出て並ばないと行けないらしい。展示への入場列は今回も含めて経験があるけど、グッズ売り場に並ぶのは初めて。
昼下がりと夕方の間くらいの時間とは言え、外も割と暖かい日で良かった。「やっぱり敷地内も混んでるなぁ」なんて眺めながら、展示の入場と同じくらい並んだ気がする。

で、「せっかく並んだし!」と意気込んで買ったクリアファイルに図録に、ESTEBANとコラボしたハンドクリームに「ほしい!」と一目惚れしたのと、睡蓮をイメージした入浴剤セットがあったので迷わず購入。家でも浸るよ、睡蓮のとき。

そして浸った、睡蓮のとき。睡蓮の作品が描かれた入浴剤は綺麗なエメラルドにいい香りが新年の浴室を染める。『ウォーターリリーの香り』とここでも睡蓮にちなんだ香りのハンドクリームもすごーく好みだったので買ってよかった。並んだ甲斐があった!

こうして「クリスマスにミュシャ」に続き新年から美術展をエンジョイできたので、「最近お出かけしてない…」となりがちなインドア派としては幸先が良くて大満足。そういえば初詣に行っていないことに今更ながら気づいたけど、たまには美術展で始まるでもいいじゃない。と楽観している。

今年もきっと色々ある。けど、最初の日記をこうして楽しく書けて良かった。
2025年も良い年になりますように。

 

クリスマスにミュシャ

ミュシャと月夜が素晴らしかった、先週の話。

「お出かけしたいよう!!!」という欲がはち切れそうになった今月、先週末にやっと時間を見つけて渋谷のミュシャ展に行ってきた。
ミュシャが好きで過去にも美術展に行ったことはあるんだけど、今回は美術館に絵が飾られるような美術展とは一味ちがって、なんと展示空間の地べたに座って(座布団あり)壁一面のプロジェクション映像と音声にてミュシャの絵画の魅力に浸るというもの。
撮影、動画撮影OKというこの展示は、地べたに座るというところからも斬新で「面白い時間を過ごせたなー」という満足感がある。
↓写真はもらったチラシなんだけど、相変わらず写真が下手。でもミュシャの絵は美しい。

過去に行ったミュシャ展の日記はこれなんだけど↓、そういえばこちらも工夫を凝らした展示だった。

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しっかりグッズコーナーも充実していて、美術展クリアファイルフリークの身としては欠かせない美しいクリアファイルに、今回は12月ということもあって来年の卓上カレンダーまで買ってしまった。
普段は家で卓上カレンダーって使わないので買わないんだけど、目が合ってピンときてしまったのでこれを機に購入。美しいカレンダーに見合う素敵な予定で埋めたいわね、来年は。

で、ホクホクと満足して鑑賞を終えたところで、この日はもう一つ行きたいところがあった。
数年ぶりに行く、クリスマスマーケット。

数年前は日比谷公園のクリスマスマーケットに行ったんだけど、今回は日比谷でなく外苑前で開催されるということで、渋谷とも近いしラッキー!といそいそと移動。銀座線って通勤で使わないのであまり乗らないんだけど、なんだか和風レトロチックで可愛かった。

で、ミュシャ展を観た後にヒカリエのカフェでゆっくりしてしまったので、外苑前に着く頃には短い日も暮れて夕暮れの時間になってしまった。けどこの時の月がとにかく綺麗だった!耳に冷たい空気が刺さるほど寒かったけど、月が綺麗ならヨシ!

チケット入場制で、前売り券もあったけど平日にヘトヘトしていたので買わずに当日券に並ぶ。けど前売り券を買った人がめちゃめちゃ多くて、当日券の列の方が少なかったように見えた。前売り券を買ってワクワクと過ごすのも、いいよね。

中に入るとズラーリと並ぶフードやドリンクの屋台に、列、列、列!
週末なのでとにかく人が多かったんだけど、私はとりあえず温かいグリューワインとドイツソーセージを頂きたかったので連れと並ぶ。
つらつらと並ぶ頃には夕暮れだった青い空もすっかり紺色の夜になってしまって、風が一段と冷たい中で秒でぬるくなったグリューワインを飲む。でもワインもソーセージも美味しかった〜!

で、お腹も満ちて少々のアルコールも入れて気分もアガったところで、会場の空気を楽しみたくてブラブラとする。この時に撮った美しい月を見てほしい!

異国情緒ある高くそびえる塔の横、輝く月と星が美しくて「月きれー!」と10回は言ったと思う。
この日は確か次の日が満月という「ほぼ満月」の日だったんだけど、ほぼ満月のほぼ完全な球体が浮かぶ晴れた夜空にクリスマスのイルミネーションは今年見た中でも数少ない絶景の一つだったと思う。年の瀬に今年の絶景ランクインなんて素敵。

「月きれー!」を30歩に1回くらいのペースで言いながら会場を練り歩いて、思うがままに写真を撮りまくる。相変わらず写真は下手なんだけど(2回目)、やっぱり光の写真っていいよなーと実感。生で見るのとは違った良さがある。

可愛いデザインのマグカップを買って、満足で帰宅…の前に青山一丁目まで歩いていい感じのお蕎麦屋さんでお蕎麦と日本酒を頂いて帰った。
最近あんまりお酒を飲まなかったんだけど、たまーにワインと日本酒をちゃんぽんするような日がある。

こうして「お出かけしたいよう!!!」という度し難い欲求を満たして今年のクリスマスのお出かけが終わった。
クリスマスの週末というと昨日と今日が一番近いんだけど、この週末は1キロ買った牛すね肉をひたすら下茹でして煮込んでトロトロのビーフシチューを作りながら、11月から少しずつ書いていた趣味の小説を書いていた。この上なく贅沢なインドア。

完結したシリーズの番外編のクリスマスの話がちょうど書き終わってさっきインターネットの海にそっとボトルメールのように流してきたところで、「クリスマスに間に合った…!」という達成感で満ち溢れているし、今年のビーフシチューもお肉がホロホロにほぐれて大満足。こうしてインドアなクリスマスの週末は終わりを迎えようとしているんだけど、まだお取り寄せして解凍したクリスマスケーキが食べられていない。ビーフシチューでお腹が満足したまま数時間が経過してしまったのでどうしようか。今日寝るまでに食べられるだろうか…という平和な悩みで日記を書いて週末が終わる。

今年もそれなりに楽しいクリスマスシーズンを過ごせたということで、これにて満足。
ちなみに24日と25日は仕事納めの直前で仕事が立て込んでいるので「地獄のクリスマス」と名付けている。サンタさんには心の平穏をお願いいたします。

5感で味わう おいしいミュシャ展

『おいしいミュシャ 5感であじわうアール・ヌーヴォー

artexhibition.jp

これを見たいがために東京から大阪に日帰りしてきた。
道中の日記はこちら

ha49re.hatenablog.com

電車を乗り継いでやってきた、堺 アルフォンス・ミュシャ館。

『描かれた至福。』ってコピーがいい。

アルフォンス・ミュシャの絵の中でも女性画が特に好きで、ふくよかで肉感的で、でも健康的で丸みを帯びた豊満な肉体はまさに「豊か」で「満ち」ていて、滲み出る美しさがいい。
独特の色合い・花の描き方・デザインも大好き。

チケットは当日に受付で購入。510円は破格に感じる。
中はそこまで混んでなく、ゆっくりと観られたのですごーく満足。

最近は国立西洋美術館とか混んでいる美術館っていうのもあって、基本的に画は他人同士で譲り合いながら観る…って感じだったのが、こちらは午前中で人が少ないせいか他の人と画を観ることもあまりなく、ありがたく独占してじっくりと観られた。

ミュシャの女性画の何がこんなに惹かれるんだろうと思いながら間近でよくよく見たらわかった。瞼の描き方だ。
肉感って感じの厚みある上瞼はもちろん、下瞼の仄かな厚みや影がすごく好きで、思わず見つめてしまう。
視線が合わない流し目線も美しいながらこちらに目を向ける眼差しにも目を逸せなくて、色んな画の女性と見つめ合ってた。
美しい。

mucha.sakai-bunshin.com

ミュシャ館のサイトにもあるように展示は5つのセクション+エピローグで構成されていて、

Section.1 味覚 おいしさを、あじわう
Section 2 嗅覚:香りを、あじわう
Section 3 触覚:肌ざわりを、あじわう
Section 4 視覚:美を、あじわう
Section 5 聴覚:音を、あじわう
Epilogue おいしいJOBー当時の大人の嗜好品ー

と、それぞれのコピーにも趣を感じる。
香りを、美を「あじわう」って表現が優雅で好き。

セクションごとに展示が分かれているわけだけど、嗅覚のコーナーに差し掛かった瞬間にいい香りが漂ったし、聴覚のコーナーに入ると小さく弾むピアノが聴こえてきたりと、同じフロア内ながら会場はすごく計算されて魅せてくれるんだなと思った。

漂ういい香りは画にちなんだ香り(の染み込んだ花のモチーフ)が実際に展示されていて、「香りを嗅いでみてください」の案内通りにすると香水とも生花ともお香ともとれる香りで、画のイメージが立体的に膨らむ。
目の前の視覚には美、嗅覚には芳香…と美しい瞬間を味わった。
美術ってすごい。

最後のエピローグの展示では当時の嗜好品の煙草の広告が展示されていたけど、恍惚感のある表情を浮かべた美人と女性に刺さる色使いの広告に、女性に煙草が普及した一因は絶対にこれだよなぁ…とぼんやり思ったりした。


そして美術展のお楽しみがミュージアムショップ。
美術館クリアファイルコレクターなので大小のクリアファイルに、図録に、あぶらとり紙もめっちゃ可愛かったので思わず買っちゃった。ポーチから出すたびになんかいい気分になれそう。

5感の「味覚」に関しては会場で試食などができるわけではなかったが、その代わりに限定のフィナンシェが売られていたのでお土産に買って帰った。
もちろんミュシャデザインのパッケージで、シャンパン味のフィナンシェ。
当時のシャンパン味のお菓子のパッケージの展示を見て「シャンパン味って何味??」と思っていたので、家でじっくり答え合わせできるのは嬉しい。

で、実食する。
蓋を開けると、中に籠もっていた甘い焼き菓子の香りがふわっと広がった。
甘くていい香り。
原材料にハッキリと「シャンパン」って書いてあるのがなんだか新鮮で、シャンパン味に期待しながら一口大のフィナンシェを口に入れる。
シャンパン味…わからん…でも甘いけどキリッと引き締まってる…」とか考えてたら喉越しの後味にシャンパンの風味が追っかけてきて「あーこれか」ってなった。
楽しい。そして美味しい。

シャンパン特有の風味で甘さも引き締まってて、独特の美味しさがある。
これに合わせてちょっと高めの(ティーバッグだけど)紅茶を淹れたんだけど、味の良さはもちろん湯気の温かい空気でフィナンシェの香りも広がって、焼き菓子・紅茶・シャンパンという優雅なコラボの味わいがより美味しいように感じた。
帰宅した後にも味覚・視覚・嗅覚が楽しめるというオマケが嬉しい。

想像よりずっと、5感が美味しく満たされて満足。
ごちそうさまでした。

ルーヴル/ブルターニュ 都内でフランスを巡る

ルーヴル美術館展 愛を描く』と『憧憬の地 ブルターニュ』の展示を観に、美術館をハシゴしてきた。
両方とも終了間近だったので、ギリギリで行けてめっちゃ満足。
夜はフレンチだったので、都内でフランスを巡る1日を過ごした。

ルーヴル美術館展 愛を描く』は六本木の国立新美術館
会期終了前の最後の土曜日だからか、午前中でチケットを持っていても40分待ち。でも40分待つ価値は全然あった。

それはもうどの絵画を観ても文句なしに美しかったワケだけど、その美しさから画家の『この!裸体を!とんでもなく!美しく!描く!』みたいな『欲による表現への熱意』みたいのをバシバシと感じてた。完全に勝手な捉え方だけど。
乱れた布の陰影、裸体の描き方、目線の表し方…どれも素通りできない『力』みたいなのがあって、人の群れに紛れながらまじまじと観た。
特に女性の乳房や臀部の丸みや白桃のような色合いはどれも美しくて、美しいんだけど美しすぎて執念すら感じてしまった。

最初に『愛の神アモル』の《アモルの標的》を観たんだけど、『恋愛』を司る神でありながら人間の赤子の姿であるアモルは、むちむちでぷりんとした身体の丸みと「どこ見てるのかな〜?」と話しかけたくなる赤子独特の目線があって、とにかく可愛い。赤子の可愛らしさが存分に表現されていて、その可愛らしさに『赤子への慈愛だわ…』とか思ったりした。これも愛。

一方で《パンとシュリンクス》でまさにシュリンクスを抱かんとしてるパンの目が真っ黒な空洞のようでどこか鬼のように感じたりして、暴力と紙一重な愛の描き方も様々にあって面白い。

この展示のメインの一つである《かんぬき》は、とにかく男性の目線の描かれ方が好きだった。
この絵画の、特に女性の心情の捉え方については諸説あるというか想像の余地が残されているわけだけど、その「想像の余地」こそが官能的な魅力なんだろうとなんとなく思う。

展示は章ごとになっていて、最初は神々の愛、そこからキリスト教の愛、人間の愛…と続いていたんだけど、個人的には庶民の愛で描かれる風俗的な生々しさに惹かれた。

面白かったのが『エロティシズム』のテーマだけ部屋の壁一面がワインのような赤紫になっていて、その薄暗い部屋で官能的な絵を群れになった人々が凝視しているという図がどこかシュールだった。もちろんその群れに自分たちもいたワケだけど。

『理性』と『欲』の狭間で揺れる様を描いた作品も色々あるながら、大体理性が負けているのが面白い。まぁそういうものを描きたくなり、鑑賞したくなるんだろうなとは思うけれども。

慈愛、恋愛、親子愛、情欲、死…と『愛』に絡む作品をお腹いっぱいに観られたと思う。
どの絵も特に目線の描き方と布の質感がすごく好きだった。
絵から透ける画家の情念が強く感じたというか、『美の底には欲がある』というよくわからないフレーズが頭に浮かんでいた。こういう念の強い絵に惹かれてしまう。

美術展ではクリアファイルを絶対に書いたくなるので今回もお土産はクリアファイルと、夫が必ず買う図録も買って、あとなぜか鎌倉銘菓『クルミッ子』とコラボしていたのでそれも買った。神奈川の友人に贈ってもらってから、クルミッ子大好き。

 

それから上野に移動して、国立西洋美術館で『憧憬の地 ブルターニュ』を観る。
こちらは全く並ばずに入れたので、この順番で正解だった。

並ばずとはいえ観客は結構いたものの、ルーヴルよりゆっくり落ち着いて観られた。
『画家たちは フランスの最果てを目指した』というフレーズとクロード・モネ の《ポール=ドモワの洞窟》の絵に惹かれてこの展示に行こうと思ったんだけど、なんとこの絵は写真撮影OKだったので嬉しい!
『画家たちは フランスの最果てを目指した』のフレーズ、「人々が描きたくなる土地」というのがいい。
海・雲・海岸、描かれるものは似ているのに、くすんだオレンジの色合いに郷愁を感じたり爽やかに青々しかったりと、描かれ方が画家によって違うのが面白い。
風景画の他に人物画や死の悲嘆なんかも描かれていたんだけど、個人的には風景画の印象が強かった。

ルーヴルの愛というか情欲を観た後のブルターニュの海景はなんだかより清々しく感じたような気がしていて、凪のような穏やかな気持ちで眺めていた。
もちろんどちらも満足なんだけど、方向性が少し違うのが良かったと思う。

ブルターニュの方もクリアファイルと図録を購入。クリアファイルは2展で7枚も買ってしまった。
綺麗だから満足なんだけど、最近はチケットも電子化してるのでチケットホルダーのファイルなんかは使い道がなくなってきてるのが寂しくはある。


で、せっかくフランスの展示をハシゴしたから(?)たまにはご飯もフレンチが食べたいなと思って、夜はフレンチを予約した。
気軽に行けるところがよくて銀座のカジュアルにいけそうなお店を選んでみたんだけど、初めてのお店ながらいいところだったと思う。
ワインの味にまっっったく詳しくないながら、軽くて飲みやすい赤と牛ホホ肉が美味しくて幸だった。最初のテリーヌから美味。

めちゃくちゃ久しぶりにフランス料理を食べたんだけど、最後のデザートまで満足。コース料理って最初は物足りない気がするんだけど、デザートと食後の紅茶でお腹いっぱいになるようよく計算されてると思う。
ちょこっとフランス気分な1日を、ほろ酔いで〆た。

本当はこの美術展は先月に行くつもりで有休も取ったのに行けなかったから、今回ギリギリで行けて本当に良かった、というかホッとしている。
六本木→上野→銀座と何も考えず巡ってしまったけど、テーマを決めて色々行ってみるのも楽しい。
行きたい美術展はまだまだ色々あるので、次はミュシャ展に行きたい。

ゆりかもめで逃避行

繁忙期から逃避行しちゃった。

金曜日に行ったばかりなんだけど
月曜日もAKIRAの音楽展に行ってきた。
今度は作品ファンの同僚と、2人で。

↓金曜に行った時の感想

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2人とも出社して、午後休を合わせて
現地で待ち合わせて行くことにした。
その日に会議がない私が先に行き、
昼まで会議が長引く同僚が後を追う。

代務を頼むような仕事はなかったし
別に正当な休暇だからいいんだけど、
繁忙期の平日に同僚と遊びに行くことは
なんとなく伏せた方がいい気がして
秘め事のような、なんともいえない
背徳感に似た感情を密かに楽しみながら
午前の仕事を片付けた。

部署の違う彼女も多忙な人で
お互いになかなか休みが合わず
業務を調整してやっと合わせることが
できた、貴重な午後休だ。

 

チャイムが鳴り、
では!
師走の月曜日から、逃避行します!
と地下鉄で向かったのは、ゆりかもめ
あの高層ビルと海の景色が大好きで
ゆりかもめに乗るだけで私にはイベント。
しかも始発駅の新橋から
最前のパノラマビュー席に座れたのが
本当にツイていて、最ッ高だわ…と
多幸感に浸りながら乗ってた。
そしてめちゃめちゃいい天気!
車内は外国人観光客が多かったんだけど
ウキウキは観光客にも負けてなかったな。

新橋から走り出したと思ったら着く汐留、
そこからビルの間を縫うように進み
東京タワーと高層ビルの奥に
海とレインボーブリッジが見えてくる。
この見慣れたビル群と見慣れない海が
交じる景色が、日常風景の中に突如
現れた非日常みたいで、大好き。

もう少し進むと海と倉庫の景色だけど
すぐ近くには見慣れた東京タワーも見えて
楽しー!と満喫しながら逃避行は続いた。
ウキウキで楽しんじゃってるけど
今日のメインはこれからっていうのが
もうね、最高。
太陽とキラキラ反射する海の光を浴びて
会社から、繁忙から遠ざかってゆく。
さよなら月曜日。

 

観光客ばりに楽しんだ行き道を終えて
テレコムセンター駅で同僚と落ち合う。
観たのは金曜と同じく、零壱庵。

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この展示を教えてくれた本人と観て
感想を言い合えるのはすごく嬉しい。
ちなみに前回の時はガラガラだったのが
今回は席がほぼ埋まっててビックリした。
ほとんどが外国人で、多分観光客かな?
内心「クールジャパン!」とか思いながら
2度目の鑑賞を楽しんだ。
前回は一番前の席にいて、今回は一番後ろ
だったんだけど、後ろの方が音圧というか
空気が響く様をより感じられた気がした。
来年3月末までやってるので
座るなら一番後ろがオススメ。

あと3回は観たいとか、映画が観たくなる
とか話しながらカフェに向かう。
AKIRAの大ファンである同僚から
東京オリンピックのオープニング案に
採用され、それが取止めとなった経緯や
その時のファンの動向の話なんかを
聴いたり、お互いの趣味の話をしながら
"好き"という感情にはいつの間にか
他の感情も付随してくるので
何かをずっと好きでい続けることは
実はすごくエネルギーが要ることだし
難しいということなんかを
お互いにものすごい早口で喋ったりした。

仕事の愚痴で仲良くなった人だけど
この時は仕事の話は一切しなかったな
そういえば。

コーヒー片手にたっぷり数時間、
プライベートや過去の話を交えながら
熱く、時にはダラダラ喋ってるうちに
楽しい月曜の午後は終わる。
あと10日弱、地獄…みたいな会話を
しながら、最後はやっぱり仕事の
愚痴で盛り上がり、解散した。
あー楽しかった!

 

ただいま月曜日、と逃避行から戻ると
次の日からは順当に忙しくて
今週はみっちり働いてグッタリ終わった。
けど、楽しい思い出がひとつ増えたので
その思い出と次の楽しみを栄養にするのは
とても良いものだ。

繁忙期は休みが取れないから繁忙期な訳
だけど、忙しい隙間を縫って数時間でも
遊んだ今回は逆に頑張れた気がする。
背徳のスパイス、クセになりそう。

透ける光

ずっと行きたかった写真展に行ってきた。

川内倫子『M/E 球体の上 無限の連なり』
(写真家 川内倫子氏の公式サイトは↓)

rinkokawauchi.com

実は写真展に行くのは初めてで
寡聞にして写真家 川内倫子氏についても
今回まで知らなかった。
それでも行こうと思い立ったのは
この広告に映る光がとても綺麗で
一目で見惚れてしまったから。

オペラシティ自体には行った事があるけど
会場のオペラシティアートギャラリーには
初めて行くので、それも楽しみだった。

予約したほうがいいかな?と調べたら
「事前予約なしでご入場いただけます」と
サイトに記載があったので
そこまで混まないのかなーと油断して
行ってみたら、とんでもない!
自動ドアを入った瞬間から
ずらーーーーーーーっと並んでいて
えっ この列??とビックリした。
開催終了の前日というのもあって
なおさら混んでいたのかもしれない。

美術展はいつも予約して入っていたので
写真を観るのも、長蛇の列に並ぶのも
なんだか新鮮だった。
待ちに待っていよいよ入ると
初めてのアートギャラリーは思ったより
広くて、割とゆったり観られたと思う。

展示されている写真は、広告で見た何倍も
光を綺麗に捉えているように感じた。
透ける光、影に射す光が特に美しい。
この"光"の美しさは、初めてこの展示の
広告を見た時から感じていた。
(開催終了しちゃったけど、リンクから
まだ見られるかな。伝わってほしい↓)

rinkokawauchi-me.exhibit.jp

私は光と影の美しさが大好きなので
透ける光、きらめく光、射す光や
瑞々しく光に映える影を
ジッと見つめては堪能した。

他の美術展の時にも似たような事を
書いてしまったけど、
静かな空間や作品の音響で満たされた
空間に身を置いて「綺麗」「美しい」と
いった言葉で頭の中を埋めたり、
作品へ浮かんだ素朴な疑問や感想で
頭の中を満たせるところが
鑑賞の良さだと思っている。
そこに身を置いている限りは、現実から
離れた世界にいられるというか。

写真は壁に飾られるだけではなく、台に
水平に置かれるような展示もされていて
違う視点で観られたりして面白い。
このアートギャラリーの空気も好きだなー
とか考えながら、今回も鑑賞に浸った。

ちなみに写真は下記、川内氏のサイトの
作品ページでもいくつか鑑賞できる。
サイトにはないかもしれないが
写真展では人物を捉えた写真もあって
レンズ越しの人たちへの温かみを感じた。

rinkokawauchi.com

 

最後に、展示の写真集を買って帰った。
驚いたのは、私よりも写真展に興味の
薄かった連れ(美術展は好き)が「写真集、
買って帰ろう」と乗り気だったこと。
誘ってよかった。

最初にずらーーーーっと並んでいたのも
納得だった。
期待以上に満足して帰路につく。
初の写真展だったけど、絶対また行く。
他のアートギャラリーの展示も観たいし
"オペラ"シティという事で、オペラとかの
音楽鑑賞もしてみたい。
芸術への探究心はまだまだ続く。

映画『AKIRA』音の名シーンを浴びる

映画『AKIRA』を薦めてくれた同僚に
サウンドが最高に良かった話をしたら
なんと今、サウンドに特化した展示が
開催中という事を教えてくれた。

という訳で金曜日、2ヶ月ぶりの有休で
お台場まで行ってきた。

↓公式サイト
日本科学未来館『零壱庵』2022.12.18時点

www.miraikan.jst.go.jp

この展示を知るまで、サウンドに特化した
展示があること自体知らなかったんだけど
この映画に関しては本当に音楽が良いので
そりゃ特化した展示もできるよな…と
思ったりした。
が、想像よりずっと充実した時間だった。

平日の午前中に行ったからか
私達以外、誰もいなくてラッキーだった。
展示室の正面にはスライド、
その前に音響機材のようなものがあり
一番サウンドを堪能できそうな
音響機器の前の席でワクワクと待った。

上映が始まり、映画の冒頭が映し出され
おぉー始まった!と興奮する。
あの和太鼓のような音に、胸が高鳴る。
このまま映画が始まる…わけではなく
スライドには作曲者の山城祥二氏が
出会った国・人・文化と楽器の説明文や
画像が映し出され、こんな楽器があるのか
とか、こういう風に奏でてたのか…とか
サウンドを聴きながら知られたりする。

そして理解が深まった後、
私が何度も繰り返し再生して聴いた
ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」から
始まるバイクのシーンが始まって
最高に興奮した。あのシーン大好き。

サウンドの制作秘話と映画シーンの再生で
15分くらいの上映だったんだけど、
12:45までの開催には更に続きがあって
『交響組曲AKIRA 2016』から楽曲
『鉄雄』を10分ほど聴くことができる。

この『鉄雄』の楽曲の2:48辺りから
始まる、連なる風鈴みたいなキラキラと
したメロディが初めて聴いた時から
すごく私のセンチメンタルな部分を
刺してくるなと思っていて、いつ聴いても
懐かしさと物悲しさがこみ上げてくる。
水色に灰色を混ぜたような、
涼しい夏のような爽やかさと懐かしさの
すぐ後ろに絶望と物悲しさがいるような、
この曲を聴くとなんだかいつもそんな事
ばかり考えたりする。
で、4:00辺りから
月曜から夜ふかしでおなじみの
あのサウンドが鳴り響くと、そこから
ひたすら崩壊の絶望感に浸ったりする。

映画を観た時から考えていたのは
もし、あの事故で超能力を得たのが鉄雄で
なかったら、どうなっていたかという事。
別の仲間があの力を得たとして、
鉄雄は止めようとして早いうちに死にそう
だな…とか思いつつ、強大な力を手にして
狂わない人間は少ないだろうが
あそこまで世界が壊れたのは、仲間内でも
特に強い劣等感を抱く鉄雄が万能感を
手に入れてしまったからなんだよな…と
鉄雄の"業"について考えたりして
切ない、と言うにはあまりにも暗すぎる
物悲しさを10分間、堪能して終わった。
…しかし月曜から夜ふかしのスタッフは
なんで番組のサウンドをこの曲から
採用したんだろうか?といつも思う。

作曲者の山城祥二氏について、
作曲家だけでなく科学者としても
活躍されている事も今回初めて知った。
展示の説明を読めば読むほど
山城氏の研究の深さにただ脱帽する。
ありがたい事に写真撮影OKだったので
壁に書かれた山城氏のサインも
撮影させていただいた。嬉しい!

↓山城祥二氏についての詳細

www.yamashirogumi.jp

この映画のサウンドについて
"音の名シーン"と言及されていたんだけど
まさにその表現がぴったり当てはまる。
最高の環境で音の名シーンを浴びて
堪能できたのが本当に良かった。
映画のサントラ買ったくらい好きなので。

この作品のファン・映画ファンは勿論、
映画のストーリー自体はそこまで
ハマらなかったけどサウンドは最高!
みたいな人でも絶対行く価値がある。

あと、この上映を聴いたら絶対に
映画館でこの映画が観たくなる。
また映画館でやらないかな。

ちなみにこの展示、
今年の12月までの公開だったのが
2023年3月末までに延長されたので
とても嬉しい。
冬のお台場はすっっごく寒かったので
もう少し暖かい3月辺りにまた行きたい。

 

この日は休みが合わなくて同僚と行けず
別の連れと行ったんだけど
実は来週、午後休を合わせてこの同僚と
行く約束をしている。
また展示を聴けるのも、同僚と遊びに
行けるのもめちゃめちゃ楽しみ!
3月までに絶対また行く!

 

映画の感想

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