散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

イヴの日記

朝起きてすぐに、冷蔵庫から鍋を取り出した。
昨日仕込んでいた牛すね肉がいい感じに柔らかくなっていて、鍋を揺らすと肉がフルフルと震えた。

ランチは昨日の残りのピザにして、家のスピーカーで『Another Day Of Sun』や『Someone In The Crowd』なんかを流してイヴの気分を盛り上げた。
別にクリスマスソングじゃないけど、気にしない。

 

それからずっとやりたかった事として、初めて小説を書いてみた。
最近まで全然手を付けられなかったくせにどうしてもクリスマスを題材にしたくて、昨日から書き始めて短いものを今日書き終えた。

初めて小説というものを書いてみた所感としては「難しかった」の一言で、2日間の突貫で書いたものだから設定も練られていないし、書いている時はあんなにドラマチックに思えたのに読み返すとダラダラ平坦だったりして、まさに「稚拙」と言うべく作品に仕上がった。

でも前からやってみたかったことをやり遂げた満足感は大きい。めちゃめちゃ頭とエネルギーを使うけど、日記とは違って「話を生み出す」という、エネルギーに相応する楽しさがある。

今と全然違う名義にしてインターネットの海に流したので、どこかで目に留めた誰かが「下手な文だな」とか思うんだろうかと思うと、なんだか面白い。次に書く時はもっと練って練って丁寧に書くぞ!という意欲が湧いている。
「あー難しかった!」という清々しさと共に、今日の半日が終わった。

 

それから音楽をかけながらビーフシチューの完成まで取り掛かる。
クリスマスイヴなので、毎年この時期に聴いているthe brilliant greenの『イヴの鐘』をリピートで流した。
どうして寒い時期はこんなに甘ったるい曲が聴きたくなるんだろうか。

赤ワイン・ハチミツ・コンソメで煮て寝かせたすね肉を火にかけながら、具材を切る。
具は玉ねぎ・セロリ・マッシュルームだけのシンプルにしたので、切るのも楽。
切って炒めて水気を飛ばしたら、すね肉の鍋に投入してブーケガルニとデミグラスソースと水と加えて煮た。
これで煮えたら完成なので、その間にサラダを作る。
レタスとベビーリーフにスモークサーモンとオリーブを乗せるだけという楽ちんなのに、味は保証付きでズボラなご馳走。

ビーフシチューとスモークサーモンのサラダとフランスパンで、いただきます。

ビーフシチューのお肉が舌でほどけた。
去年作った時と同じく、柔らかくて旨味の上澄みみたいな上品な肉の味に「昨日から仕込んだ甲斐がありました」と嬉しくなる。
噛みしめると仄かに赤ワインの風味が追いかけてきて、なかなかオシャレな味だったと思う。
ごちそうさまでした。明日も食べられるのが嬉しい。

お腹に余裕があったらローストビーフを出そうと思ってたけど、パンとシチューとサラダでお腹いっぱいになってしまったので明日以降に回す。
それからもう少ししたら昨日届いたケーキを食べて、ジュースみたいな葡萄酒を飲んだらいい感じに今日が終わるんじゃないかと思う。

年内最終営業日の3日前にあたる明日は業務が立て込んでいる上にトラブルの予感もチラつくので、せめて今日はイヴを満喫してから布団に入りたい。
サンタクロースのオジサマには、平和な明日をお願いします。