散文録

つらつら書くのが楽しい。日記・作品の感想など

日比谷の緑を浴びたくて

合わない数字に月末残高にExcel画面。そういうものと睨み合いを続けた身が「緑を見たい!」「新緑を浴びたい!!」と全力で叫ぶのに任せて、緑の補給に出かけてきた。

ここ最近は都会の中で緑を感じることに情緒を感じていて、先日行った日本橋の整った街路樹の緑も綺麗だったんだけど、今回は日比谷公園で都会の緑を浴びることに決めた。好きなんだ、日比谷公園

たっぷり寝坊した休日の昼過ぎ、内幸町駅の地下を出ると日差しの強い5月の青空とビルと緑が一度に目に入って「そうそう、これが見たかったんだよ!」と気分が浮上した。

整然と立ち並ぶ四方形の立体の「都心!」って感じの景色が好き。夜景も好きだけど、青空の下のビル群もずっと見ていられる。

ここから日比谷公園に入ったので、私の緑に染まった画像フォルダでこの日記も緑に染め上げていこうと思う。
なんの変哲もない木々の緑には、新緑の癒やしが詰まっている。日差しを反射するキラキラの新緑が本当に綺麗だったんだよ〜〜!!

緑!

緑!

緑!!

すごくいい。すごくいいよこの景色。とか思いながらバシバシと木々の写真を取りまくった。こういうのを浴びたかった。
なんの変哲もない木々の写真も肉眼で見るとこの何倍にも綺麗で、日差しとそよ風と人の活気という「空気」と一緒に浴びる緑は本当に癒やされた。

少し歩くと『日比谷野外大音楽堂』があって、ちょうど開演中だったのか女性ボーカルの声が響き渡っていた。何のライブ?イベント?なのかわからなかったけど、青空の下で伸びやかに響き渡る声っていいよね。

新緑を染み染みに浴びて気分が上がったところで、今日のもう一つの目的地に着いた。『千代田区立日比谷図書文化館』。日比谷公園の中にある、図書館である。

他のビルとは角度が違って、なんか正面から尖ってるの面白いな。とちょっと思った。このとんがりが好き↓

実は初めて入ったんだけど、本や資料はもちろんのこと座って読むための椅子も充実していて、ゆったり座りながら本を読むことができた。
行く前に「何の本を読もうかな」と思っていて、モヤモヤしてるこの生き方のヒントになるような本でも読もうかなと思っていたのに、気づいたら著名人の随筆集を読みふけっていた。文筆家が自身にまつわる「おやつ」について語る文章を読むとほっこりと素朴な甘さのような時間が流れて、気づいたら静かな図書館の椅子で一冊読み終わっていた。

publishing.parco.jp

もうちょっとこう、実用的な書物とか自己啓発とか、そういうのを読もうと思っていたのに。と思いつつ、図書館でゆったりとこういう本を読む時間もそれはそれで貴重だよなとか思ったりする。
なんとこの図書館にはカフェも併設されていて図書フロアの本も持ち込み可能だという事で、今度はカフェに寄ってコーヒーを飲みながら珈琲の随筆集を読んだ。

www.kawade.co.jp

緑を求めて出かけた先で、おやつと珈琲の文章を嗜む。なんて至福の時なんだろうと思うと同時に、半ば無意識にそれを求めた自分の疲労も感じなくもない。

そうこうするうちに日も傾き、久しぶりの図書館に満足したところで公園に戻って夕方の散歩をすることにする。
少し前までは『春』なんて言っていたのにもうそれは流れ去っていて、初夏を迎えてこのまま夏に向かう気候は18時を過ぎても明るくて涼しい。蒸し暑くなる前の今だからこそ、5月の気持ちの良い気候のうちにこういう所へ来たかった。ので、とても満足しながら歩いた。
日が少しだけ落ちても、まだまだ明るい。

いいよね緑。とか思って歩いて、噴水へたどり着く。背には帝国ホテル。

帝国ホテルを背に浴びる緑と水の空気、最高だよね。と、湧き出る水に吸い寄せられるように腰掛けて、もう少しだけ歩いた。自然オンリーの豊かな大地も好きだけど、この都会に混ざり合う自然っていうのがなんだか無性に好きなんだ。ゆりかもめから見る港区のビル群と海のコラボレーションも好き。
先のベンチでアレコレ喋っていると少しずつ空の明度も落ちてきて、ひとしきり満足したところで公園を後にした。

明度の落ちた空の青が濃くなって、霞んでいた月の光が強くなるのを感じながら有楽町エリアに入って、少しだけ買い物をしてご飯を食べて帰路につく。
いつもよりたくさん歩いた身はほどよく疲れていて、お風呂に浸かって布団に入ると「疲れたー!」と思うんだけど、それは平日の疲れとは異なる心地良い疲れだった。

週が開ければまた合わない数字やExcel画面との睨み合いが始まる。人様と心理的な睨み合いをしなければならない時もある。そんな時こそ、緑を浴びよう。5月の気持ちいい時に来られて良かった。